初春ファンブルグ寄席 第２席

お楽しみいただけたでしょうか？



続いての演目は「イールの焼きそば」でございます・・・m(_ _)m




それでは、どうぞ・・・

育ちのいい方は、存外、ものを知らないということもあるようで・・・



















ファンブルグの街に*若くて美しい*けど
世間知らずなお金持ちのお嬢さまが
おりました。

・・・「若くて、美しい？」



うっさいわねっ！！



・・・コホン






















あるとき、公爵令嬢はメイドを連れて狩りに
出かけました。

久々の狩りに、お嬢さまは夢中になって
楽しんでいましたが、とうとう帰り道
のイールで空腹のあまり一歩も動けなく
なってしましました。




















ちょどそこに居合わせた若者が、哀れに思って
お嬢さまに持っていた料理を差し出しました。
お嬢さまは差し出された料理を恐る恐る口に
運びましたが、その美味しいこと、美味しいこと・・・。
あっと言う間に一皿ぺろりとたいらげてしまいました。





















「このたびは、まことに大儀じゃった、礼を申すぞ。
ところでこれはなんという料理じゃ？」












「ははっ、これは『焼きそば』にございます」












「ふむ、『焼きそば』と申すか・・・」

お嬢さまは若者を執事にとりたてようとしましたが、大人の事情で
断念しました。

こうしてお嬢さまは屋敷に戻りましたが、
それからというもの、寝ても覚めても
『やきそば』のことが忘れられません。

お抱えのシェフに命じてみましたが、シェフは『やきそば』なるものは知らず、
お嬢さまのイメージを聞くままに作ってみたものの、出来上がってきたのは似て
非なるもの・・・。

もう、どうにもこうにも我慢できなくなった
お嬢さまは、メイドを呼ぶと「イールに
出かけて『やきそば』を探してくるよう」
言いつけました。

メイドは、イールだけではなくセラルカや
ウィルノアにまで足を伸ばしてみましたが、
『やきそば』を売っている店はありませんでした。

ファンブルグに戻ったメイドが途方に暮れてとぼとぼ歩いていると、一軒の家の前に・・・

「！」

メイドは、家の中にいた妙齢の美女に、

「お願いです！わたしに『やきそば』を作ってください」


（友情出演：アクアミント様　（ｃ）アルカネットさん）

美女は聞き捨てならぬことをさらっと言いましたが、
てんぱっているメイドの耳には入りません。


美女が差し出した『やきそば』を引っ掴むと、急いで屋敷に戻りました。

「お嬢様！とうとう見つけました！
これが『焼きそば』です！」

「おそかったのぅ、すっかり待ちくたびれたわ・・・」

公爵令嬢はメイドが持ってきた『焼きそば』を
一口食べると・・・

 

 

ばたっ・・・

 

「あ～～～ん、これは、ファンブルグの裏町で・・・」

おあとがよろしいようで・・・　m(_ _)m