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久しぶりに一席お伺いいたします。
世の中、「狐と狸の化かしあい」なんて申しますが、狐や狸が人を化かすなんていうのは可愛いものですよね。
人の姿に化けて油断させ、お酒やご馳走に見せかけたあらぬものを飲ませたり食べさせたり・・・。された方はたまったもんじゃありませんが、聞かされる方は楽しい。
それに比べれると、人が人を化かすというのは、利が絡むだけに笑ってはすまないケースがあります。詐欺なんていうのはその典型ですね。
落語の世界に出てくるのは、詐欺は詐欺でもちょっと抜けたところがありまして・・・。
トントントン・・・
「師匠、師匠・・・、いるかい」
「なんだい、そうぞうしいね、こっちは暑気当たりが高じて、寝込んでんだからさ、ちょっと静かにしておくれな。
はいはい、今あけるから・・・。おや、蕎麦屋の吉っつぁんじゃないか、どうしたんだい」
「おう、師匠、聞いてくんな、最近うちの屋台に、やたらお喋りな野郎が来るんだがね」
「へぇ~、どんな男だい?」
「まあ、店に来てから帰るまで口の動きが止まるこたぁねぇ・・・蕎麦をたぐるより、くっ喋ってる時間の方が長ぇんじゃないかと思うくらいだよ、まったく・・・」
「それは、喧しいやつだねぇ」
「喧しいというのともちょっと違うんだがね、とにかく、やたらめったら褒めちぎるんだよ」
「へぇ、吉っつぁんのどこを褒めんだろうね?付き合いの長いあたしでも難しいやね」
「おきゃあがれ、お召し物から始まって、どんぶりや箸まで褒めていくのさ」
「それで?」
「そんでもって、支払いの段になると、こう、袂(たもと)に手ぇいれて『細かいけど勘弁してくんな』ってね・・・」
「うん」
「それで、『ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ・・・』と」
「うんうん」
「『いつ、むぅ、なな、やぁあ』ときて、途中で『今、なんどきだい?』って聞かれるんで、『ここのつで・・・』と答えると・・・」
「ん?」
「『とぉ、じゅういち、じゅうに・・・』って、なんでいつも時刻ききやがるんだろうね?」
「あ、あのね・・・、吉っつぁん?」
「んで、その男が帰ってから銭を数えるといつも1つ足りねぇんだよなぁ」
「あたたた・・・」
「ん、師匠・・・どうしたい?頭抱えちゃって・・・?」
「い、いや・・・」(それは、相手よりもあんたに問題アリだよ)
「ん?なんか言ったか?」
「いや、こっちの話さ・・・、それより、その男がどうしたのさ?」
「そいつがね、南の広場で壺を売ってやがんだよ」
「壺?」
「まあ、壺といっても本物の壺じゃねぇ、アシッドポットというモンスターなんだがね。
加速の迷宮にLv1が出るんだが、これが、DEXが高くQUIもそこそこだし、魔法が使えるってんで、ちょっとした人気みたいなんだよ。」
「へぇ~」
「そこに目をつけて、何匹か捕まえてきて壺屋でございとのぼりを立ててるやつさ」
「なるほどね」
「うちも水物扱ってるから、壺モンスターは看板代わりになるから、1~2つ買ってこうかと思うんだが、買い物は苦手だし、特にモンスターはよくわかんねぇから、師匠に一緒に行ってもらえないかと思ってきた次第さ」
「そうかい、仔細はわかったよ、吉っつぁんをおこわにかけた奴なら、遠慮はいらないね」
「いや、うちは蕎麦屋でおこわはやってない」
「なに、言ってんのさ、ほらほら行くよ」
と言う訳で、蕎麦屋の吉さんは、清元のゆかりこ師匠を伴って、壺屋にやってきました。
「いいかい、さっき話したとおりにやんだよ」
「あ、ああ・・・、よくわかんないけど、言われた通りにやるさ・・・」
★
「はい、ごめんなさいよ」
「いらっしゃいまし、おや、そちらは夜鳴き蕎麦屋さんじゃないか、いつも美味しい蕎麦をありがとうよ」
「おや、お知り合いかい?」
「いや、いつも小腹がすいた時に寄らせてもらってるんですよ」
「それはそれは・・・、あたしは、吉三さんちの近くに住んでる清元延紫と申します。どうぞご贔屓に」
「ご丁寧にどうも、それで本日は、どのようなご用件で?」
「そりゃあ、いま流行の壺を買いに来たに決まってるじゃありませんか?」
「なるほど、それでどんな壺をお探しで?」
「そうねぇ・・・この小ぶりなのはどうかしら?」
「これはこれは、いいのに目をつけられましたな。このクラスだと普段の狩りに使ってもよし、ボス戦に使ってもよしっていうお徳用タイプでして、師匠にも扱いやすいと思いますよ」
「こっちの大ぶりなのは?」
「そっちは、簡単にいやぁ、育ったときに高性能になるって奴でして、どっちかっていうと玄人さん向けですね。値段はちょうど小さいの倍です」
「あらま、そんなにするの・・・、じゃあこっちの小さい方にしようかしら?」
「こっちの小さい方でしたら、普段世話になってる蕎麦屋さんのお知り合いですし、どうでしょう、3500Gでは?」
「ところで普段はこれ、いくらで売ってるの?」
「3500Gですが?」
「ちっともまけてないじゃないの!」
「はぁ・・・、もともと仕入れの手間ぁ考えるとこれでも赤字なんですよ?」
「そんなこと言わずに3000Gになさいな?これからも贔屓にするから・・・ねっ、ねっ?」
「師匠には敵わないなぁ・・・、わかりました3000Gにさせて貰います」
「じゃあ、頂いていくわね、どうもありがとう」
「はい、またご贔屓に・・・」
こうしてアシッドポットを手に入れ、3000Gを支払って帰ろうとしますが、そこで声をかけたのが今まで黙っていた蕎麦屋の吉三。
「師匠、あっしにはどうもこっちの大きい方がいいように見えるなぁ」
「そうかい?」
「そうだよ、ほら艶もいいしさ、なな、悪いこたぁ言わねぇ、こっちにしておきなよ」
「吉っつぁんにそう言われると迷っちゃうねぇ、壺屋さん、こっちの大きいのはいくらだっけ?」
「はい、大きい方は小さいののちょうど倍で7・・・」
「おや、小さいのの倍だと6000Gじゃないのかぇ?」
(ちっ、しまった・・・さっき値切られたんだっけ・・・)
「おや、何か?」
「いえいえ、こちらのことで・・・、師匠、買い物上手ですなぁ」
「そんなことありませんよ」
「いやいや、すっかりやられましたな・・・、じゃあ、6000Gということにさせて頂きます」
「こっちのアシッドポットはお返ししますけど、お代は返していただけるんですよね?」
「はい、もちろんで」
「先ほど、3000Gお渡ししましたよね?」
「頂きましたな」
「小さい方は3000Gで引き取って頂けるんでしたね?」
「引き取らせて頂きます」
「それじゃあ、先に払った3000Gに、小さい方を引き取ってもらった3000G、合わせて6000Gですね?この大きいの頂いていきますよ」
「毎度ありがとうございます・・・って、ちょ、ちょっと待って下さいよ、師匠、おかしいでしょ?」
「どうして?最初に払ったのが3000Gでしょ?それに小さい方が3000Gで引き取ってくれるんだから、合計6000Gで合ってるじゃないの?」
「う~~ん、最初に3000G頂きましたねと・・・、で、こっちの小さいのが3000Gで引き取りますよと・・・3000G+3000Gは6000G・・・ど~も計算は合ってるんだけど、何故かお金が3000Gしかない・・・おかしいなぁ・・・」
「だからさぁ・・・」
見かねた吉三さんが説明します。
「最初に払ったのが3000Gだろっ?んでもって、小さい方が3000Gで引き取るってんだから、合計6000Gだろっ?合ってるじゃないか?」
「う~~~ん、そうなんだよなぁ・・・、最初に3000G頂いて・・・、で、小さいのを3000Gで引き取りますよと・・・3000G+3000Gは6000G・・・計算は合ってんだよなぁ・・・、だけど、お金が3000G足りないような・・・」
「なんだなんだ?なにやってるんだ?」
隣でファイヤーダンサーを売っていた男が、話に割り込んできます。
「いや、こちらのお客さんにね、小さいのを3000Gで売ってお金を貰ったんですよ、そのあと、やっぱり大きいほうがいいってことになって6000Gで売ることになったんだけど、小さい方を3000Gで引き取るんですよ。で、最初に貰った3000Gと、小さいのが3000Gで6000Gになるって言うんですがね・・・」
「最初に払ったのが3000Gで、小さい方が3000Gで引き取り・・・だから、3000+3000で合計6000G・・・おかしいところはねぇじゃねぇか?」
「いや、そうなんですけどね・・・。でも、6000Gで売れたのに金が3000Gしか・・・」
「だって、考えてみなよ・・・3000G貰ったんだろ?」
「貰いました」
「で、小さいのは3000Gで引き取るんだよな?」
「引き取りますよ」
「3000G+3000Gは6000Gになるじゃねぇか」
「なりますな・・・」
「おかしくないだろ?」
「でも・・・」
そこに師匠が割って入ります。
「ですからね、こっちに先に支払った3000Gでしょ、そしてここにちいさい方・・・これが3000Gでしたね?合わせたら6000Gになるじゃないですか?」
とうとう、壺を売っていた男は頭を抱えてしまいました。
「もう、わかりましたから・・・って、本当は分かってないんだけど、わけわかんなくなったから、いいです・・・持ってってください!!」
にやっと笑う二人に、
「あ、こっちのちいさいの・・・これも持ってってくださいよ・・・なんだか見てるとイライラしてくる・・・」
「いや、そんな訳にはまいりません」真顔で答える師匠。
「師匠、それはどうして?」
「只では引き取れませんのさ」
「引き取り賃はおいくらで?」
「ちょうど3000G頂きます」
お後がよろしいようで・・・m(_ _)m
実際にやられたら、わかんないかもw
「さて、問題です。この男は、いったい、いくら損したでしょう?小さい壺3000G、大きい壺6000Gとして答えなさい」と尋ねたら、
旦那は、自信満々に12000Gと答えました。
その日から、旦那にはお使い頼むの止めました。
うちはそこまで粋な先生はいなかったなぁ・・・
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勇者候補として召喚されてから丸2年たちました。
未だに勇者としては「半チク」だけどいいもんね♪
モットーは「毎日楽しく遊べればそれでよし」
落語家勇者は今日も行く!
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作者はぺんぎんさんです♪